ども宇佐美です。

少し間が空きましたがパチンコ不正改造問題に関して前回の続きです。
本題に入る前に、何人かの方から「宇佐美はなぜギャンブル依存症問題に絡んでいるのか、何か下心でもあるのか?怪しい?」というようなことを質問されましたので、まずはその辺の話からしたいと思います。


1.なぜ私がギャンブル依存症問題に関わっているか、という話

ミリオンゴッド

まず大事なことですが、私は21歳のころから赤坂のサントロペやエスパスあたりで、パチンコ・パチスロを打っておりまして、基本的にはギャンブルっていうかパチンコ好きです。

 自分自身も多少依存の傾向がありまして、学生時代は結構のめり込んでそれで周りに迷惑をかけたこともあります。そんなわけで当時は月に何回かは朝パチンコ屋の前に並ぶような常連でしたので、「ギャンブル依存症」というものがどういうものかは体感として理解できるような環境にはいました。当時はミリオンゴッドに代表されるいわゆる「4号機」の時代でパチスロの射幸性がものすごい高まっている時代でしたので、パチスロにハマって借金をこしらえて首が回らなくなって離婚した人や大学からドロップアウトして身を持ち崩した人をたくさん見ました。

なかにはパチンコホールのトイレで首をつった人もいまして、それを知った日は「こんな状態が続いちゃいけないよな」と思いながら、北斗の拳を打ちにいったことを思い出します。。。ええ私も結構のめり込んでいたんですよね。その後4号機に規制が入ってだいぶ射幸性が落ちてプレイヤーながらもある意味で安心したのですが、しばらくするとパチンコの射幸性がガンガン上がってきて、「これどこかで見た光景だな〜」と思っているうちに、また周りでパチンコでこしらえた借金を原因に会社の金を横領するような人が現れて、なんだか嫌気がさしてやや店から足が遠のいていたところにギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子さんとの出会いがありました。

それで田中さんから「ギャンブル依存症問題の啓蒙活動をやっている手伝ってくれないか」ということを言われて、軽い気持ちで手伝い始めたのですが、初めはそんなに力を入れていませんでした。私にとってギャンブルといえばパチンコなわけですが、自分もプレイヤーでしたから当時は業界を信頼していて、「パチンコ業界も話せばわかってくれるだろう。私は制度を知るものとして、橋渡しの役割なりアドバイスをすればいい」程度のことを思っていました。

ただまぁ実際に手伝い始めてみると、パチンコ業界が田中さんをクレーマーのように扱って話を聞く機会すら設けない有様で、一方で田中さんがそういうパチンコ業界の尻拭いのような活動をボランティアでしているのを見ているうちに、私もだんだん頭に血が上ってきてなんだか許せなくなり「よし本気でやろう」となった次第です。

そんなわけで元々はちょっとした正義感のようなもので軽い気持ちで手伝い始めたのですが、深入りするうちに業界の無責任な対応にムカついてきた、というのが本音です。ちなみに最近では私もパチンコ業界の方々から「あの電波野郎」「気狂い」だとか呼ばれているようで、大変光栄に思っております。



2.パチンコ業界になにを求めているか、という話


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さていきなり話がそれてしまいましたが本題に入り、続いて
「ギャンブル依存症問題の現場からはパチンコ業界に何をもとめているのか?」
という話をしたいと思います。

こういう話をすると「結局は金だろ?」ということを言われるわけですが、実際当初は「ギャンブル依存症の回復施設の運営に対する金銭面での支援」を業界に求めていました。ギャンブル依存症罹患者は一般に借金を抱えて金がないわけですから、その上で回復にさらに金が必要、となると経済的にかなり厳しくなるわけです。家族がいる場合は本当に悲惨で、そのために進学を諦める子供なんていうのもざらにいるわけです。そんなわけで「パチンコ業界は責任を持って依存症回復施設の運営にもっとお金を出すべき」「ギャンブル依存症罹患者の子供向けの奨学金を設立するべき」というようなことを思っていました。

*なお現在でも業界規模からすると雀の涙のような規模ですが、パチンコ業界は回復施設の運営の支援のために少しはお金を出しています。

ただこうした主張を業界にぶつけたところ窓口レベルでは「パチンコはギャンブルではない」と突き返され、さらに業界人から「乞食」だとか「礼儀がなってない」だとか陰口を叩かれることになりました。そんなわけで、田中さんと話し合って「パチンコ業界がギャンブル依存症問題に自腹を切って本気で対策を取ることはありえない」と認識を改め、このアプローチをやめました。

逆に彼らのスタンスを受け入れて

「パチンコ業界が『パチンコはギャンブルではない』と主張するなら、その主張を認めよう。代わりに実際に『ギャンブル』と呼べないレベルまでパチンコのギャンブル性を下げるよう世論・政府に働きかけよう。」

というように方針転換をしました。1日に10万円以上も勝ったり負けたりするようなものは業界がどうごまかそうが実態は「ギャンブル」なわけです。そんなわけで私たちがパチンコ業界に求めることはシンプルでして

「パチンコがギャンブルでないというのなら実際にギャンブルと呼べないレベルまでギャンブル性を下げろ。せめて法律くらい守れ。」

ということです。もうお金は求めていません。むしろパチンコ業界からお金をもらうと主張が歪むからやめよう、という話をしています。



3.行政・政治家の方々にお願いしていること

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そんなわけで私たちはパチンコ業界に相手にされず門前払いを繰り返されたわけで、これはしょうがない、と最近は心ある政治家の方々に幾つか制度改正要望をお願いしています。(論点はいろいろあるのですが、ここではパチンコに関するものに絞ります)


具体的にどのようなことを要望しているのか、というとシンプルでして

「違法にギャンブル性を高めたパチンコ機は、ユーザーにも一目で違法とわかるようなメーターを設置してくれ」

ということです。上の図は私たちの主張を車で例えてまとめたものなのですが、自動車には速度規制というものがあって、一方で自動車にはそれを計測してドライバーに分かりやすく表示するスピードメーターが設置されています。だからドライバーはスピードメーターを見て速度規制に違反しないように自動車をコントロールすることができるわけですし、また取り締まる警察もスピード違反を見つけたらすぐに検挙できるわけです。

他方でパチンコにはギャンブル性に関する各種規制があるのですが、個別の遊技機にスピードメーターに該当するような表示装置がないために、自分がどの程度のギャンブル性を持つパチンコを打っているかわかりません。また肝心の取り締まりに責任を持つ警察も個別の遊技機が違法な改造機かそうでないのか判別できません。だから世の中違法な不正改造機だらけになっています。

前回の記事でも述べたように業界は「すぐに襟を正します」と口では言いますが遅々として違法機の撤去が進んでいない状況なわけで、これまでの経緯もあり基本的に私たちはパチンコ業界の自主規制なり自助努力というものを一切信頼していません。

そんなわけで「なるべくならパチンコのユーザーが、最低限警察職員が、一目見ただけで違法機かどうかを判別できる役物比率に関するメーターをすべてのパチンコ機につける」ということを行政に要望しております。この点に関しては民進党の高井たかし先生から河野大臣に質問していただいたところ以下のようなやや前向きな答弁をいただいたことを参考まで紹介いたします。


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(河野国務大臣 )
〜何らかの形でパチンコ台が適法の性能のものかどうかというのはチェックをする必要がありますし、手間がかかるのではチェックがなかなかできませんから、何らかの方法できちんとチェックができるようなものである必要はあるんだろうなというふうに思っております。余り前向きな答弁にはなりませんが、この問題は極めて大きな問題だと認識をしておりますので、警察もやる気でございますので、しっかり対応してまいりたいと思います

 
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4.これから私たち自身がやっていくこと

以上長々と書いてきましたが、最後に私たち自身がこれからどのようなことをしていこうと思っているか、ということを述べておきます。

まずは市場にあふれている違法機を一刻も早く撤去させなければならない、

ということを思っています。これは業界自体が、自分でやる、と言ったことなので守ってもらわなければ困ると思っています。

日工組文書


上の画像はパチンコメーカーの業界団体である「日本遊技機工業組合」が警察庁に対して提出した資料ですが、ここにははっきりと「営業所から速やかに回収し、適正な遊技機に入れ替えていくことにしました」と書いてありますし、「適正な遊技機は4月から販売する」と言っているわけです。

この文書が提出されたのが昨年の12月で、もうすぐ半年たつわけですから、そろそろ違法機を全て回収する準備が整っていてもいいはずでしょう。

私たちも「しばらく業界の自主的取り組みの様子を見る」とした警察庁の判断を尊重するつもりですが、もしも近日中、例えば今年の上半期中、に日工組から回収対象機の全リストやそのスケジュールが示されない場合は、司法の場に訴えるなど積極的な対応を取っていかざるを得ないと考えています。少なくとも当面その準備のために、しばらくは情報収集に努めたいと思っております。

なおまたブログでも書きますが、最も責任が重いのはパチンコメーカーであるにもかかわらず、現状では回収費用の大半をホールが持つような枠組みになっているのは極めて不適切で、このままでは違法機の回収・撤去が進まないのではないと、他人事ながら危惧しております。

以上長くなりましたが、ではでは今回はこの辺で。